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2022年02月08日

様似中学校の総合学習その2

 今年度の様似中学校1年生総合学習「ふるさとアポイ学」は(1)事前学習、(2)1020日が全員で町内見学、(3)115日が班ごとに地域調査、テーマに沿って町内の専門家に質問、(4)128日がポスター発表会という流れで行っています。

 さて、115日の班ごとの地域調査。動植物グループと、地質グループがビジターセンターに来ました。他にも観光や産業、歴史を調べるグループがあり、町産業課、教育委員会の学芸員や司書、観光案内所、おやきや、ホテルアポイ山荘、等澍院、農協を訪問しました。

 植物グループは、Tさんの案内でビジターセンター館内の展示を使って学習し、そのあとはエンルム岬でアポイドリームプロジェクト(生徒たちがアポイ岳の高山植物の種を育て、できた苗をアポイ岳に戻す活動を通して、自然再生事業に関わり、郷土愛を育むことが目的の事業)の現場を見に行きました。

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 地質グループは、アポイ岳調査研究支援センターでSさんから話を聞き、その後プレート境界などの現場見学。ビジターセンターは、岩石の違いと国立公園の話を担当。学術顧問N先生から教えてもらったプログラム「岩石の密度・鉱物の硬度実験」を通して、自分の手でやってみて、岩石の多様性を確かめる作業を実施。地質を調べに来たのに、まさか数学!と言われましたが、かんらん岩と石灰岩の密度計算をしてもらいました。岩石を通して地学以外のものとのつながりにも気づいてもらえたらいいな~。生徒たちは、実験をどうやってポスターに表現するかな~と言っていて、工夫していました。

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 また、GIGAスクールの関係で生徒全員がタブレットをもって、写真を撮っていました。生徒たちは写真を撮りながらいろいろと私に質問をしてくれました。また、生徒同士で教えあいをしていたことが印象的でした。この後は、まとめ作業を行いポスター発表するそうです。(カ)

2022年02月01日

1月16日(日)未明 津波注意報 備忘録

 1月16日(日)未明、津波注意報が北海道様似町も含む北海道~宮古島までの広範囲に発表されました。様似町は積雪のある冬期かつ深夜でした。避難されたかたと避難準備をしたかたからの聞きとりについて、備忘録も兼ねて記録します。

 「2011年の東日本大震災の時に高台に避難したことを思い出した。チリ沖地震を思い出した。様似町内でも約80mの標高に位置する観音山周辺に最大30-40台の車が避難していた。避難所指定されているソビラ荘に一時避難し、数台の車がみられた。観音山周辺にはトラック(町民ではない方々)も数台停車していた。自宅で避難準備をしながらニュース報道を見ていた。科学的に予測できないということを再認識した。」という話がありました。

 私の感想ですが、日本はトンガと同様、太平洋の周囲4万キロを取り巻く「環太平洋火山帯」に位置し、日本は世界の活火山の7%がある火山大国でもあり、4枚のプレートがひしめきあっている国。冬場の津波からの避難という点からも、改めて防災について考えさせられました。

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1月16日0:45分頃、観音山周辺に避難されたかたがたの車が並ぶ様子(教育委員会のOさん提供写真)

<トンガ大規模な噴火が発生>

 1月15日(土)13:10頃、南太平洋・トンガ諸島の火山島フンガトンガ・フンガハアパイで大規模噴火。フンガ・トンガ・フンガ・ハアパイは、過去の噴火によって陥没した海底カルデラの縁にある火山島の名称で、首都のヌクアロファから北に65kmほど離れた場所にある海底火山。トンガでは火山灰が降り積もり、最大15mの津波が押し寄せ、家屋がすべて破壊された島もあり、死者3名、負傷者14人を確認。津波と降灰被害は約10万の国民の8割以上に及ぶと推定。1月31日現在170の島々の被害全容はつかめていない。

 今回の津波の特徴は、大規模な噴火による圧力の変化(噴火に伴う空気の振動=空振)が大きな影響を与えたとみられていて、日本では気圧の急激な変化のあと、大きな潮位の変化が現れたと考えられている。通常の遠地の海中でおこる津波よりも到達が速かったことに加えて、噴火地点から離れるにつれて複数の波が重なることで、日本でも潮位が高くなったと考えられる。

 地震による津波とは異なるが、広い意味では津波といえる。今回の津波は波の周期が比較的短く流れが速いのが特徴で、船やいかだを移動させる力が大きくなる。潮位が高い状態が続いている地域では決して海岸に近寄らないでほしいとのこと。

【2022.1.16 NHKニュースより】

【2022.1.31 北海道新聞社説より】

 1883年インドネシアのクラカタウ火山の大規模噴火の際は、今回同様・海中を伝わる津波ではない潮位変化がおきたといわれている。気圧変化や風、湾の地形などが原因で潮位変化が起こる「副振動」もあるが、海外では「気象津波」と呼ぶこともある。共鳴が原因の海面が短期間のうちに昇降を繰り返す現象「あびき」などがあてはまる。なお、副振動は様似町を含む日高管内でも観測されている。

【ウエザーニュースを参考】

<津波注意報 様似町にも発表>

1月16日(日)01:15頃 様似町にも津波注意報

隣町浦河の潮位表は次のとおり。

1月15日の干潮が20:29(潮位23)

1月16日の満潮4:08(潮位125)と13:29(潮位142)

<北海道太平洋沿岸中部 浦河 津波到達時刻>

第1波到達時刻 1月15日21:43 引き

最大波到達時刻 1月16日5:15 高さ0.7m

 ナウファスで隣町の浦河港 潮位実況 経時変化グラフをみたところ、1日たっても潮位が少し変動していることがわかりました。https://nowphas.mlit.go.jp/choui_graph/612/7/

 道内は8か所で津波を観測したが、被害情報なし。70センチの津波を観測した浦河町の沿岸を午前9時前にNHKのヘリコプターで上空から撮影した映像では、港の施設などに影響は見られず、陸にあげられた漁船が整然と並んでいた。50センチの津波を観測したえりも町の沿岸を撮影した映像でも、漁港などに影響は確認されていない。

【NHKニュース】

<津波注意報 解除>

1月16日14:00 津波注意報解除

<国内の様子>

高知県・徳島県・三重県で漁船沈没や転覆が報告される。(カ)

2021年12月28日

様似中学校の総合学習その1

 今年度の様似中学校1年生総合学習「ふるさとアポイ学」は(1)事前学習、(2)1020日が全員で町内見学、(3)115日が班ごとに地域調査、テーマに沿って町内の専門家に質問、(4)128日がポスター発表会という流れで行っています。

 今年のテーマは、世界の中のアポイ岳ジオパーク=さまに。町内で世界に誇れるものを紹介するとともに、世界のジオパークについても学び、世界の中の様似を意識しながらこれからの学習を進めてもらうということになっています。この前段としてTさんが町内で世界に誇れるものの全体概略、Dさんがイタリアのアダメロ・ブレンタユネスコ世界ジオパークについて、中学校で話をしています。

 さて、1020日に「町内見学」を行いました。地質サイト様小裏の旧石切り場、岡田のチセ、幌満の縄文遺跡、東邦オリビン工業(株)、いちごハウス見学という流れです。民間の会社のかた、教育委員会の学芸員、産業課と商工観光課の職員が現地で説明を行いました。

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 自然・歴史・産業について、現場で実際にかかわっているかたからお話を聞けることや見ることができる機会は貴重で、海外の話を聞くことができる機会があるって世界が広がっていいな~、自分の住んでいるところを学ぶ機会があることもいいな~と思いました。(カ)

2021年12月22日

おおいた姫島ジオパーク姫島中学校のオンライン学習2

111日、おおいた姫島ジオパークの姫島村立姫島中学校1年生が「姫島ひじきブランディング」学習の一環として、様似町の昆布漁についてオンライン学習を行いました。当日はアポイ岳ジオパークビジターセンターから中継を行い、様似の昆布漁師のかたに、昆布漁で気をつけていることなどについて質問しました。生徒たちは昆布の食べ方、昆布漁について驚いていた様子がうかがえました。

町広報への掲載記事もご覧ください

http://www.samani.jp/koho/

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ここからは私の感想ですが、日高昆布を伝えていく切り口や方法、何を伝えていくかということについて、新たに気がついたこともたくさんありました。なぜ日高昆布がこの地にあるのか、なぜ美味しいのか。今回、特に印象的だったのは、風土「海底地形・気候と日高昆布のつながり」と、歴史「もともとこの地に住んでいたアイヌの人々の昆布漁と、本州からやってきた和人がはじめた漁業、日高昆布のブランド化をはかってきた先人たちの努力があってという話」でした。今後も引き続き地域の皆さんからお話を伺うなかで、大地と海産物をつなぐ話を作っていきたいと思いました。(カ)

2021年11月28日

アポイ岳の防鹿柵(ぼうろくさく)撤去作業

 11月16日(火)アポイ岳の防鹿柵(ぼうろくさく)撤去に行ってきました。とても寒い日で、あられも降りました。7合目より上は風が強かったそうです。

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 防鹿柵は酪農学園大学とアポイ岳ファンクラブにより2011年に55基設置され、エゾシカの植生への影響を把握する調査に使われてきたものです。4人で2隊に分かれて、最後の15基を撤去しました。ご協力いただいたみなさま、ありがとうございました。

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 この柵は、IさんやSさんの卒業研究・修士研究やS先生の植生調査の際に使われ、柵でおおわれた箇所と、覆われていない箇所の植生を比較することで、エゾシカの植生への影響を調査するものでした。山麓部において、柵の中にしかミヤコザサが残らず、エゾシカの影響に驚いたことが思い出され、約10年間の思い出がよみがえります。アポイ岳ファンクラブのかたも、町の学芸員も調査補助のために何度もアポイ岳に登りました。これは何かと多くの登山者や中学生たちから聞かれて、説明したこともありました。役目を終えた資材たちへ、お疲れ様でした。あとに残すは、方形柵と金属柵の撤去作業です。これは来年の4月かな?

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 最後に昨年3月のガイド勉強会で話題になっていた「ヤドリギ」を見てきました(上と下の写真)。葉が落ちているので見やすいのですが、モコモコしている部分が他の樹木にとりついて養分を得て生きているヤドリギ(寄生木)。レンジャク(北海道なのでおそらくキレンジャク)にとって大好物のヤドリギの実を食べ、糞をして硬い種は消化されずそのまま出てきます。そして糞そのものは、ねばりけが強く糞は地上にポトリと落ちることはなく、幹にぶら下がるように張りつきます。種はやがて樹木にくっつき成長してゆきます。つまり、ヤドリギとレンジャクはお互いに助け合うかのような関係性を築いているそうです。教えてくださった、TさんとTさんありがとうございました。(カ)

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