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2011年05月16日
観音山情報04:5/14&アポイ岳情報03:5/15
先週末、2日間にわたってアポイ岳ファンクラブと様似町アポイ岳ジオパーク推進協議会の共催による「アポイ岳盗掘防止パトロール研修会」が開催されました。
講師には、北海学園大学教授で北海道自然保護協会会長の佐藤謙先生をお迎えしました。先生には、当協議会の学術顧問もお引き受けいただいています。

佐藤謙先生。様似町とは古くからお付き合いいただいています。
初日5/14(土)は観音山をフィールドに、植物の現地学習会から始まりました。
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| 町内外から25名が参加 | ヒトリシズカ |
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| エゾムラサキ | シラネアオイ |
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| 佐藤先生によると、この辺りのオオバナノエンレイソウの花のサイズは、札幌周辺のもの2倍近いとのことです。まさにオオバナ! | エゾエンゴサクは、もう種をつけていました。 |

観音山の花の状況はというと、シラネアオイはこれからが本番、オオバナノエンレイソウとニリンソウが満開、カタクリは数は多いですが花はもうじき終わり、エゾエンゴサク・キバナノアマナ・アズマイチゲはわずかに残っている、といった状況でした。

先生は2時間ほどの探索で約80種もの植物を見つけ、解説してくれました。植物にはかなり詳しいアポイ岳ファンクラブのメンバーもかなり刺激を受けていた様子。
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さて、現地学習の後はアポイ岳調査研究支援センターを会場に講演会です。先生がこれまでに携わってこられた道内各地での研究結果を踏まえ、実例をもとに希少な植物たちが直面している危機とその対策について解説していただきました。そして講演会の後はお約束の交流会。メインディッシュの旬の山菜の天ぷらをつまみながらの植物談義は夜更けまで続きました。
2日目5/15(日)はアポイ岳の植物講座です。
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| この日はとても寒く季節が逆もどりしたかのようでしたが、20名の参加者は元気に登ります。 | コキンバイ |
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| コミヤマカタバミ | ミヤマエンレイソウ |
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| エゾオオサクラソウ | 珍しい八重咲きのヒメイチゲ |
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| コヨウラクツツジ | オクエゾサイシン |
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| アポイアズマギク | サマニユキワリ |
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| アポイタチツボスミレ | 下山開始直後から天気も回復して暖かくなりました。9合目から見た太平洋と様似のまちなみ。 |

佐藤先生には登山中もほぼ休みなく解説していただき、かんらん岩という超塩基性岩の影響を強く受けていたり、南方系と北方系の植物が混在していたりというアポイ岳の植生の面白さを学ぶことができました。また、先生はシカによる採食圧が強くなっているという印象を受けたようで、非常に心配されておられました。
なお、上記以外に開花が確認された植物はというと、エゾヤマザクラ、フイリミヤマスミレ、センボンヤリ、ショウジョウバカマ、エゾムラサキツツジ、ケタチツボスミレ、キジムシロでした。
さて、そのアポイ岳の花ですが、昨日時点の状況として、例年より1週間程度遅れ気味のようです。ただ、その遅れが今後も、そしていつまで続くのかは分かりませんし、天候次第では一気に例年並みに進む可能性も十分にあります。今後、アポイ岳登山を計画されていて、事前に詳しい開花状況などを確認したいという方は、アポイ岳ビジターセンターに電話でお問い合わせください。
アポイ岳ビジターセンター tel 0146-36-3601
(krmd)
2011年05月13日
日高山脈に巨大な犬が出現!?
昨日、「だいぶ雪も溶けてきたなー」などと思いながら、いつものように何気なく職場の窓から日高山脈(下の写真)を眺めていると…、あっ、あんなところに巨大な犬が!

どこにいるか分かりますか?奥に連なる日高山脈の中央にそびえる十勝岳の右斜面、写真では中央やや右をアップで見ると…

どうでしょう。お座りをして尻尾を振っている犬に見えませんか?見えますよね。いや、見えるはずです。お願いですから、見えてください。
このように、山の斜面などで雪によって偶然作られた模様を人が何かの形に見立てたものを雪形(ゆきがた)と言います。雪形は季節が移るに従い、どんどん姿を変えていきますが、かつてはこの形になれば種まき、この形になれば田植え、といったように農事暦として農作業の開始の目安に使われることも多く、それにちなんだ名前が付けられたものもあります。例えば、福島県の吾妻小富士の雪うさぎは「種まきうさぎ」と呼ばれているそうです。
様似では、もうじき低農薬での特別栽培米「アポイ米」の田植えの時期を迎えます。4/16の本ブログによると今月18日頃が田植えの予定ということですので、あと数日もすれば始まりますね。この日高山脈に現れた犬は、様似の「田植え犬」なのかも。
(krmd)
2011年05月12日
ジオ仲間を様似づくしでおもてなし
現在、北海道には3つのジオパーク(洞爺湖有珠山・白滝・アポイ岳)がありますが、今年の9月末に全国のジオパーク関係者が一堂に会する、「第2回日本ジオパーク洞爺湖有珠山大会」が洞爺湖有珠山ジオパークで開催されます。
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この大会は、全国のみなさんをオール北海道でお迎えすることから、先日、洞爺湖有珠山と白滝のジオパーク担当者が様似町に集まり、打合せが行われました。
打合せ後は、宿泊先のアポイ山荘にて懇親を深めたのですが、多少奮発して山荘に様似づくしメニューを考えてもらったので、少しご紹介します。
まずは、お造り。マツカワに真ツブ、ホッキ、タコを大皿に盛り付け、これまた様似のゴンボ(山)ワサビを自分で摺っていただきます。
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魚料理はサメガレイの唐揚げの甘酢あんかけ。ミソは新パッケージの「アポイのまむ酢」をかけていただきます。すごくまろやかになって、これまたなかなか…。
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ほかにも、ウドなどの天ぷらや白貝の酒蒸しなどが出ましたが、この時期は何と言っても「ウニ」。先付で出されたウニを、釜炊きした様似産米(ほしのゆめ)にのせてトライ。
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私はさらに、まむ酢をご飯にかけて「酢飯」していただきました。「これがまたウマいのさ~」。岩海苔の味噌汁でしめてごちそうさまでした。
今回は山荘さんにご協力いただきましたが、様似に来られるお客さんに、どれだけ地の物をおいしく楽しく提供できるかも、おもてなしの重要な要素ですよネ。私たちも勉強になりました。
翌日は、町内のジオサイトをご案内して、ジオサイトの設計や看板の内容などについて意見交換もしました。
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幌満峡の稲荷神社前の鳥居では、エゾヤマザクラも開花していました。やっぱり山に入ると暖かいですネ。
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第2回ジオパーク大会は、9月29日~10月1日の3日間で行われ、2日目の30日(金)には倉本聰さんの講演会、1日(土)にはガイド付きのジオツアーも行われます。
大会テーマは、「ジオツーリズムを通じた観光地づくり」です。一般参加も募っていますので、お時間がある方は、観光地の洞爺湖有珠山で一味違った楽しみ方を見つけてみてはいかがですか?大会の詳細は、洞爺湖有珠山ジオパーク公式サイトまで…(タク)。
2011年05月11日
観音山情報03:5/10
「カタクリが満開だぞ。」
昨日、T学芸員に教えられ、あわてて観音山へ。
前回(4/27)はまだほとんどつぼみだったカタクリが、まさに花盛りを迎えていました。

お約束の親子岩を望むアングルで。

前回の主役だったエゾエンゴサクは、まだ残ってはいるものの、もうほとんど終盤です。
今回初めて開花が確認されたのは・・・

名前のとおり大きな白い花が目立つオバナノエンレイソウと・・・

ニリンソウでした。
ところで、観音山公園の奥の方へ行ってみると、カタクリに異変が・・・

こんな風に、花の部分だけがなくなっていたり・・・

根元付近からなくなっていたりとさまざまです。こんなのがあちこちに見られます。
犯人は、

こんな足跡を残し、

こんな落し物をしていったやつです。
そうです。シカがカタクリを食べていたのです。
ところで、上の写真をみて「シカの糞じゃないよ!」と思われる方もいるのでは?
シカの糞というと、

こんな風にコロコロしているのが普通だし、ほとんどの人がこんな糞しか見たことがないかもしれません。
でも、上の写真のボテッとしたのも間違いなくシカの糞なのです。これは「夏糞(なつふん)」と呼ばれるもので、主に春から夏の間に、水分を多く含む植物を食べたときに出す糞なのです。良く見ると、糞は一つのかたまりではなくて、扁平につぶれた粒がくっついているのが分かりますよね。ときどき、こんな固まったシカの糞を見た人が、クマの糞と勘違いして騒ぎになることもあるようです。
観音山では数年前からシカが頻繁に目撃されるようになっていて、こうした採食による植物への影響も心配されているところです。植物たちにどの程度の影響を及ぼしているのか、なるべく早くきちんと調べる必要がありますね。
(krmd)
2011年05月10日
アポイの花の再生はいかに?
アポイ岳の5合目付近で行っている、高山植物の再生実験。今年も実験地での作業と取組みを行っている「アポイ岳再生委員会(会長・渡辺定元元東大教授)」の23年度総会がありました。
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アポイ岳の高山植物群落は、国の特別天然記念物に指定されているのですが、盗掘と地球温暖化で急激にその数を減らしています。何とか、人の手でかつてのお花畑を復活できないかと、地元町民や研究者がタッグを組んでがんばっています。
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そもそも高山植物は、他の植物が生きていけない寒い場所に生育するものですが、温暖化でアポイのガレ場が笹やハイマツに覆われ、小さな花たちが顔を出すことができなくなっています。特別天然記念物の指定区域である中腹以高は草木を除去することはできないため、規制のかからない5合目下に笹などを刈り込んだ人工的なガレ場をつくり、そこで培養した苗を植えるなどして、人の手での花の再生が可能かどうかの実験を行っているのです。
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この日はあいにくの風雨でしたが、静岡大学の増沢武弘教授らが育てたエゾコウゾリナとサマニユキワリの苗を植え、周辺の笹刈りを行いました。
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夜には、再生委員会の総会が行われ、自然再生推進法に基づく再生活動を進めていくことや、増沢先生の提案で秋に採取した種を冬の間、地元町民が自宅で育苗することも取り組むこととなりました。
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総会後の懇親会には、いつもながら地物食材がズラ~っと。ファンクラブKさんの山菜、もはやプロの域に達しているTさんの手打ちそば、地元ハンターYさんのエゾシカ肉などなど…。
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再生委員会の名前の頭には、「カムバック1952」の冠がついていますが、特別天然記念物に指定された1952年の頃のアポイ岳の姿を夢見る人々が今年もがんばっています。(タク)



































