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2011年10月16日

幌満峡での紅葉の後、龍神様の御利益がききすぎて...

今日は、ふるさとジオ塾の第7回講座。今が紅葉盛りの幌満峡からピンネシリ北側をまわる、いわば「幌満かんらん岩体ぐるっと1周コース」です。

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最初に訪れたのは、ジオサイトA1の第2発電所近くのかんらん岩の露頭。ハンマーを使って岩石の新鮮な面を出して、ルーペで鉱物の様子を観察します。でも、皆さん石を叩く経験があまりなく、ちょっとおっかなびっくりといった様子です。

ジオ塾・幌満峡石叩き.jpg

今日は、かんらん岩体をまわるということで、講師の島田先生が岩体の縁に分布する蛇紋岩(我々はかんらん岩の腐ったヤツと表現していますが…)のために秘密兵器を持ってきてくれました。

ジオ塾・幌満峡磁石.jpg

実はこれ、強力磁石なんです。ここには、水が入り込んだことによってかんらん岩の中に脈状に蛇紋岩化した部分がありますが、そこに磁石を近づけると、このとおり。かんらん岩の中にたくさんふくまれる鉄分が、蛇紋岩に変質するときに磁鉄鉱になるため、くっつくのだそうです。

これには、ワタクシやT学芸員も「おもしろい!!」と大喜び。アポイ岳のウリはなんといっても蛇紋岩化していない新鮮なかんらん岩。それを対比する意味でも、ビジターセンターに展示して磁石のくっつきを実際に試してもらえば面白いかな?

ジオ塾・幌満峡稲荷神社前.jpg

さて、次は渓谷の紅葉を楽しみながら、いつもの稲荷神社(ジオサイトA6)へ。今日は、歴史担当の羽立のじっちゃんが不在のため、元日本電工職員で歴史サークル・様似会所の会の佐々木会長に解説をお願いしました。

ジオ塾・幌満峡神社階段.jpg

鳥居の奥には、落ち葉が散らかった苔むす階段。その上に、赤が鮮やかなお堂がひっそりと佇んでいます。

ジオ塾・幌満峡神社御堂.jpg

稲荷神社は、この渓谷に最初の水力発電所をつくった、日高電燈株式会社の社長以下役員や株主、職員らの寄進により、昭和11年に建立されたもので、現在は日本電工が管理しています。

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次に訪れたのは、第3発電所の堰堤として昭和29年につくられた幌満ダム(ジオサイトA7)。日本電工㈱日高工場の高橋課長にご足労いただき、ダムの役割や仕組みについて説明してもらいました。

ジオ塾・幌満峡・高橋課長.jpg

その後は、普段通ることのできないダムの上を渡って向こう岸まで探検です。

ジオ塾・幌満峡大ダムの上.jpg

10日ほど前の大雨に加え、昨日今日の雨でダム湖はほぼ満水のため、さかんに放水していました。「お~こわっ。」

ジオ塾・幌満峡大ダム放水.jpg

向こう岸には、昔水位を監視するため、職員が常駐していた家や取水管理棟などがありますが、その中で静かに湖水を見つめているのは、幌満川の水力発電に心血を注いだ、名誉町民・手塚信吉氏の銅像。ダム建設時に命を落とした職員の殉難碑とともに、今もダムを見守っています。

ジオ塾・幌満峡手塚銅像.jpg

ここで貯めた水は、約2km下流の発電所まで隧道を通して送っているのですが、その取水口がこれ…。ちょっとコワい感じです。

ジオ塾・幌満峡大ダム取水口.jpg

このあとは、ダム湖の上流から新富へ抜ける峠道を、「ガンビ(白樺)の神様」目指して移動したのですが、いよいよ雨足が強くなり、車中での解説で終わってしまいました。ガンビの神様のご神体は「龍神様」で、水とお金に縁のある神様。日本電工も、ダムの水が枯れてくると、ここに雨乞いに来たそうですが、この雨も霊験あらたかな天恵だったかもしれません。(タク)

2011年10月15日

約90人のアポイ岳ジオパークツアー

昨日、今日のツアーの下見で幌満に行った帰りにお椀のような夕日に遭遇し、パチパチと2~3枚…。

お椀のような夕日.jpg

こんなきれいな夕日だと、「明日はやっぱり雨かしら…」と思ったら、案の定、朝から雨模様。「あちゃ~」と焦ったのは、今日明日と、北海道母子寡婦福祉連合会の研修会が様似で開かれ、渡島・桧山・胆振・日高から集まった約90人の皆さんに、様似町とアポイ岳ジオパークをご案内することとなっていたからです。

母子寡婦研修会1.jpg

お昼からアポイ山荘で開会式が行われ、ワタクシが様似町とアポイ岳ジオパークをスライドでご紹介したあと、3台のバスに分乗して、皆さんをエンルム岬や日高耶馬渓、幌満峡などにご案内。

母子寡婦研修会2.jpg

一度に90人もの人を案内するのは初めてで、どうしようか悩みましたが、コースは同じながらも道順を変えて二手に分かれて移動することにしました。

母子寡婦研修会3.jpg

ガイドは、ワタクシとkrmdさん、民間ガイドの水野さんの3人がそれぞれのバスに乗って対応しました。

母子寡婦研修会4.jpg

心配した雨もツアーの時は止んでくれたし、比較的暖かな日だったので、お客様も「楽しかったよ~」とおっしゃっていただきました。

また、今日は写真撮れませんでしたが、幌満峡は今が紅葉の盛り。皆さん、バスの窓越しから「きれいだね~」と感嘆しきりでした。(下の写真は一昨年のものです)

幌満峡紅葉・第2堰堤.jpg

その幌満峡の様子は、明日のジオ塾第7回講座「紅葉の幌満峡と幌満かんらん岩体巡り」でバッチリ撮ってご紹介します。幌満峡には、乗用車で問題なく入ることができます。ぜひ様似町が誇る紅葉の名所に足を運んでみてください。この4~5日がピークですヨ。(タク)

2011年10月12日

様似を記憶するアーティストの作品展です

アポイ岳ジオパークHPにもリンクいただいている「Art Samanism 北海道様似の風景写真サイト」。皆さんもご覧頂いていますか?http://artsamanism.cocolog-nifty.com/ 

そのサイトの主宰である地元アーティスト・南健雄さんの作品展が様似町中央公民館で開かれています。

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南さんは、会社員の傍ら、独学で創作活動を続けていて、今年十勝の中札内村で開催された、「第8回 中札内村 北の大地ビエンナーレ 全国絵画作品展」では、応募作「冬の川辺」が、佳作に選ばれています(下)。

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こうした油絵や水彩画もありますが、展示の中心は素描。多くが南さんのお子さんをモデルにしたものなんです。

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下は、浦河町東栄の浜辺をきりとった1枚。人物もいいけど、こんな風景画(とは言わないかな?)もイイですよネ。

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そんな力作を眺めていると、「○○ちゃんがいるんだよね~」と入って来た女の子3人組。実は、モデルの南さんのお子さんとその友達だったのです。

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自分の姿がこんな形で残されるのは、とっても幸せなことですネ。さて、この作品展。10月23日(日)まで開かれています。時間は11:00~18:00ですので、ぜひ多くの方に足を運んでいただければと思います。

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会場は、公民館玄関脇のギャラリー21なのですが…。

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すぐ上には、「様似の明日」を表現したサケの木彫と波の彫金のレリーフ。南さんととても深い関係性があるって知ってた?知らない方はぜひ現場で確認を…。(タク)

2011年10月11日

木漏れ日に紅葉に大パノラマ、そしてマ~くんも...

5日振りでゴメンナサイ。

久しぶりの秋晴れとなった8日(土)、毎年恒例の役場職員アポイ登山があり参加してきました。1合目から山小屋までの登山道は木漏れ日が気持ちいい1時間ちょっとの道。

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その樹林帯を抜け、森林限界あたりの山小屋からは、色づき始めたアポイ山頂がきれいに見えました。

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6合目あたりにわずかに咲いていたヒダカミセバヤ。この日確認できた花はこの1輪だけでした。

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6~7合目からは、様似の街並みとともに、太平洋、日高の海岸線がどこまでも続いていました。雨上がりとあって私の最近の登山ではサイコーの眺めです。

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そんな景色を楽しむ父娘2人…。

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途中で、「山小屋で帰る」とか、「馬の背で帰る」とか言っていた輩もいましたが、丁寧な(?)説得で全員頂上を制覇。近年にない優秀な成績を記念して写真撮影とあいなったのですが、一人足りない…。

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ウチのスタッフ「302」が山麓のバーベキューに間に合わないと、先に下山してしまったのです。「もうちょっと待っててよ~」と思いつつ、このような扱いとさせていただきました。さて、そのBBQの時間に間に合わないと、慌ただしく下山。山頂直下からの眺めもこのとおり…。

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10月に入ってから朝晩の寒暖の差が激しくなってきて、今年のアポイは紅葉もきれいです。

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帰り道には、久しぶりの珍客・マムシくんにも遭遇し、おそらく今年最後になるであろうアポイ登山を満喫した1日でした。

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アポイは1年中登ることができる山ですが、11月に入ると山頂付近にも白いものが目立ち始めることから、10月までが実質的に登山シーズン。来年の4月までしばらくお預けです。ただし、地元山岳会主催の雪中ご来光登山なるものもありますが…。(タク)

2011年10月06日

アポイ岳情報12:10/3

2日連続のアポイ岳ネタですみません。

10月最初のアポイ岳情報(10/3時点)です。
 

ここ数日の本ブログでご紹介してきたとおり、洞爺湖有珠山でのジオパーク全国大会のあと、全国各地のジオパーク関係者が様似に足を運んでくれました。この日のアポイ登山も、先月新たに日本ジオパークに認定された秋田県の「男鹿半島大潟ジオパーク」からのお客さん2人をご案内してのものでした。

 

この日は、前日の低温・強風・雨・雷・雹という5重苦の中での登山をされた5人(昨日のブログ参照)には本当に申し訳ないほどの良い天気。こういうところに、案内役の日頃の行いの良さの違いがはっきりでちゃう?

 


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9合目付近から見る様似海岸のパノラマ。昨日の雨で空気が澄んだのでしょうか、くらくらするほど濃い青の海と空でした。昨日のブログ記事の最後の写真と見比べてみてください。

 

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頂上からほんのちょっと幌満お花畑方面に降りたところからは、珍しくえりも岬の先っちょまでくっきりと眺めることができました。


この日、冷たい空気の中でも元気に咲いていたのはこの花たちでした。

 

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キンロバイ。数はめっきり少なくなりましたが、中にはまだこんな元気な花も。

 

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エゾマツムシソウ。

 

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コハマギク。

 

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そして、フイリミヤマスミレ。
ん? んんん? スミレだって!? んなわけないべさ、10月にスミレなんて咲くわけないっしょ。と突っ込まれそうですが、
いんや、うっそでない、ほんとに咲いてたんだって。いわゆる季節外れの「狂い咲き」というやつでしょうか。場所は2合目のちょっと先の登山道沿い。昨日の雹にも負けずに、たった2輪だけしおしおになりながらも咲いてました。

 

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これはヒダカミセバヤ。このほかにも、ヒダカトリカブト、ダイモンジソウ、ウメバチソウ、ヤクシソウ、ハクサンシャジンなども咲いていました。おそらくこの時期にこれだけ花が楽しめる山はそう多くはないでしょう。「日本で一番早く、そして一番長く高山植物の花が楽しめる山」がアポイの売りの一つ。

 

みなさんも、今週末の3連休にはアポイの花シーズンのフィナーレを見に来ませんか? まだ間に合いますよー!

(krmd)

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