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2011年11月11日

近々、矢じりや土器の講演会やります

突然ですが、これは様似郷土館に保管展示されている、様似でみつかった縄文時代の石斧や矢じり、土器の数々。

郷土館土器.jpg

様似には、昭和48年と54年の調査で明らかとなった28か所の埋蔵文化財包蔵地があり、これらはその時出土したものの一部なのです。

ところで、皆さんもこんな標識目にしたことありませんか?

埋文・潮見台遺跡.jpg

これらの標識は、そこが埋蔵文化財包蔵地であることを示している標柱なのです。

実は、このたび教育委員会では、これら包蔵地調査をされた元様似小学校教諭の小笠原勝之先生をお呼びして、埋蔵文化財の講演会を行うことを計画しています。

先日、お住まいの静内から先生がお出でになり、町内の包蔵地を巡ってきました。ジオパークは、石や花や動物や人だけでなく、地下のことにも首を突っ込むのです。

近々、講演会のチラシが教育委員会から回るかと思いますので、ぜひご聴講お願いします。

さて、文化財が保管されている様似郷土館。

郷土館外観.jpg

何年か前に化粧直ししたのですが、この色どうですか?明るくていいでしょ?

中に入ると、クマさんがお出迎え…。

郷土館クマ.jpg

展示室には、先ほどの埋蔵文化財のほかに、貴重でおもしろい資料がいっぱいです。アイヌの人たちが使った道具や…

郷土館イナウ.jpg

国の重要文化財に指定された等澍院の古文書。

郷土館重文指定書.jpg

明治開拓の貴重な資料・矢本家文書。

郷土館矢本家文書.jpg

日高一古くて日高一小さい郷土館ですが、中身はシブいものがたくさんあります。冬期間は日・月が休館日ですが、そのほかの日はやさし~いおじさんが対応してくれますので、たまには様似の歴史にも触れてみてはいかがですか。

キョドくん.jpg

郷(キョウ)土館(ドカ~ン)のキョドくんがみなさんのお越しをお待ちしています。郷土館情報はこちら…。http://enrumu.exblog.jp/ 

ちなみに郷土館の壁の色、ワタクシが選んでしまったのです(告白)。(タク)

2011年11月08日

アポイドリームプロジェクト、スタートです

先日、アポイ岳ファンクラブ、町、研究者らでつくる、「カムバック1952アポイ岳再生委員会」による新たな試みがスタートしました。

その名も「アポイドリームプロジェクト」!

ドリームプロジェクト垂れ幕.jpg

高山植物の花が咲くアポイ岳中腹以高は、地球温暖化の影響なのか、ハイマツやササが生い茂り、花の開花が目に見えて少なくなっています。このことから、再生委員会では数年前からアポイ岳中腹の民有地の一部を地はぎして、そこに大学で培養した花の種や苗を植える試みを行っています。

今回は、それをさらに進めて、花の種を冬の間暖かい北海道の家の中で育てて、よりたくさんの苗を地元の人々の力でアポイ岳の再生実験地に植えようというもの。

増沢先生.jpg

この試みを提案したのは、再生委員会の副会長で高山植物研究の第一人者の静岡大・増沢武弘特任教授。このたび、冬を前に様似に来ていただき、自然再生推進法に基づき進められつつあるアポイ岳再生委員会の展望などについて講演いただきました。

種つけ・車庫作業1.jpg

講演の後は、参加者全員で教育委員会の車庫をお借りして、作業開始。

種つけ・車庫作業2.jpg

静岡大学が採取した、エゾコウゾリナとアポイアズマギクの種をファンクラブメンバーそれぞれが一冬かけて自宅で育て、来年の春にアポイ岳の再生実験地に植えるのです。

作業は、増沢先生のお弟子さんでアポイ岳にも何度も調査に来ている、富田さんが手順を説明してくれました。 

エゾコウゾリナの種.jpg

これは、エゾコウゾリナの種。1cmほどの細長いヤツで、ピンセットなどを使って、キッチンペーパーにはさみ、水を含ませて1カ月ほど各自の冷蔵庫に保管します。

種つけ・車庫作業3.jpg

この作業が、「離せば分かる」世代には大変な作業で、みなさん悪戦苦闘です。

種つけ・ジプロック.jpg

なんとか、こんな感じで完成。これを冷蔵庫で約1カ月培養した後、プランターに植えて世話をします。

プランター.jpg

この取組みのミソは、20℃~25℃と暖かい冬の北海道の家が育苗施設になること。地元の多くの人間が関わることで、よりたくさんの苗ができますし、世話をすることで高山植物への想いもさらに深まることでしょう。

しかし、ズボラなワタクシのプランターでは、見事本葉を出すことができるかははなはだ怪しい~?。(タク)

2011年11月05日

闇夜にうごめく彼らを探しに...

いきなり、「心霊写真か!」と思えるようなショットで失礼します。

エゾシカウォッチング・車内.jpg

実はこれ、先日行われたふるさとジオ塾「エゾシカナイトウォッチング」でのバス車内の一コマ。いまや、全道一ともいわれる日高地方に生息するエゾシカの生態を観察しようと、昨年に引き続いて行った野外学習です。

車内からサーチライトを使って、夜の牧草地にやってくる彼らをとらえようというもの。これは、エゾシカの生息数調査のために行われるライトセンサスの手法なのですが、車内がこれだけ暗いとワタクシのコンデジカメではどうにもならず…。

エゾシカウォッチング車内明.jpg

運転手さんにお願いして、少しだけ室内灯をつけてもらってようやく1枚撮れました。

これでは、とうてい遠くのエゾシカくんたちを捉えることは不可能。D300Sのhoromanさんに「シカ撮影、頼みましたよ。」とお願いしたのですが、horomanさんが陣取っていた左側にはほとんどシカが現れず、こちらもイマイチ。

エゾシカウォッチング・シカ.jpg

それなら最後の手段。参加していたアーティストMさんのブログを拝借じゃ。http://artsamanism.cocolog-nifty.com/ 

シカの専門家・krmdさんのガイドと座学で深刻化するエゾシカの実態を垣間見た第8回講座でした。(タク)

2011年11月01日

全道各地から石屋さんがやって来た2

疲れた肝臓に鞭打っての、地学団体研究会アポイ岳ジオパーク巡検2日目。

この日は、かんらん岩の研究スポットがある、幌満峡エリアへ。まず、第2発電所近くの露頭で、鉱物の組成割合によっていくつかの種類に分類されるかんらん岩をルーペで見分けてみます。

地団研・第2発電所.jpg

観察中にT学芸員がアポイマイマイを発見。このカタツムリは、タカヒデマイマイの近縁種でアポイ岳周辺にしかいない固有種なんです。かなりちっちゃくてピント合わせるのも一苦労…。

地団研・アポイマイマイ.jpg

この日の新井田先生は、研究者向けジオサイトを巡るとあって、昨日にもまして熱くレクチャーです。

地団研・新井田先生.jpg

次に訪れたのは、天然記念物のゴヨウマツ自生地があるジオサイト。河岸に降りると、紅葉を終えた斜面にゴヨウマツが伸びやかに…。

地団研・ゴヨウマツ.jpg

この辺りは、幌満峡の中でも美しい場所。ウチのT学芸員と石屋さんのMさんは、さかんにシャッターを切っていました。

地団研・ゴヨウマツ写真撮影.jpg

アポイの頂上から流れ落ちる沢水がかんらん岩の河岸を黒く染めて、なかなかの風情です。

地団研・ゴヨウマツ滝.jpg

さらに上流の第2発電所堰堤に移動。ここの露頭は、研究者のためのジオサイト。

地団研・第2発電所堰堤.jpg

ここでは、かんらん岩のうちのダンかんらん岩と斜方輝石かんらん岩の接触面が観察できるなど、学術的に貴重なサイト。こ~んな斜面だろうと石屋さん達はものともしないのです。

地団研・第2発電所堰堤DH.jpg

そんな石屋さんの足下には、季節外れのアポイアズマギクが1輪だけ咲いていました。

地団研・アポイアズマギク.jpg

最後は、東邦オリビン工業のかんらん岩採石場におじゃまして幌満かんらん岩の観察を終了。

地団研・オリビン.jpg

かんらん岩の深~い話には、なかなかついていくことができなかったワタクシですが、講師と参加者のやりとりを通じてかんらん岩の希少さにあらためて触れた2日間でした。(タク)

 

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