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2021年10月05日

海の変化

様似町を含む北海道太平洋のウニやサケの変化について全国ニュースになりましたので、こちらでも報告します。

<イルカが浜にあがる>

 2021年9月26日(日)様似町長選挙が行われていましたが、その時大正トンネル付近の海岸には「イルカ」の死骸が浜にあがっていました。4m未満だったので、クジラではなくイルカのはずです。付近にはイルカの香りが充満していました。近所のかたにお話を聞くと、もっと前からあがっていたとのこと。

 クジラの話・その1。2015年4月14日と2018年8月29日ハッブスオウギハクジラ(Mesoplodon carlhubbsi)が様似町の浜にあがり、日本中から研究者が集まり、調査されていたこと。ハッブスオウギハクジラは、大変希少な種。2015年の漂着は、世界で62例目、日本で18例目、北海道で5例目になるそうです。「ストランディングネットワーク北海道では、道内の鯨類(イルカを含む)の漂着情報を集めております。腐敗しているものでも、学術研究に使える場合が少なくありません。ご協力をよろしくお願い致します」とのことです。(引用:ストランディングネットワーク北海道ホームページhttps://kujira110.com/?s=%E6%A7%98%E4%BC%BC%E7%94%BA&paged=2

 クジラの話・その2。アイヌの人々とクジラの話。アイヌによる捕鯨は広く行われるものではなかったようでで、多くの場合、何らかの原因で浜に寄りついたクジラの肉を食料として食べていたようです。その場合も村人たちは大喜びして神に感謝したそうです。一頭のクジラから相当の肉がとれます。クジラは食料として人間にとって大変ありがたいものだったのです(引用:アポイのふもとから)。

 また様似町では昔、クジラがよくあがったそうで、包丁と鍋をもって地域の人々が集まったということもあったそうです。

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襟裳岬・日高耶馬渓が見える景色。10月2日はけっこう波がありました。

<白化したウニとムイなどが浜に打ち上げられる・・・>

 2021.9.21頃から、浜にウニやムイの死骸が多数打ちあがるという話を聞きはじめました。その後、北海道の太平洋側で鮭の死骸が網にかかることもテレビや新聞で報道されました。

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ムイ(ヒザラガイの骨)

 北海道新聞(2021.9.26)によると、今月中旬以降、海水が茶褐色に変色する赤潮が発生している。その海水にはプランクトン「カレニア・ミキモトイ」が大量に含まれていることがわかった。お隣町のえりも町では今月中旬、低気圧による大雨が降ったほか、赤潮が原因なのか因果関係は不明。

 北海道新聞(2021.10.2)によると、9月30日現在、えりも漁協(様似町の半分のエリアはこちらに所属)でサケ1280匹、ウニ10トン。日高中央漁協(様似町の半分のエリアはこちらに所属)でサケ60匹の漁業被害。北海道は各地で発生している赤潮の原因は、西日本に多く生育するプランクトン「カレニア・ミキモトイ」だとして、監視を強化している。

 2021.10.2、様似町冬島の大正トンネル周辺にあがった生物の調査に行ってきました。浜は、香り(おそらく死骸から発生したもの)が充満していました。棘が落ち、多くが白化したウニ(多くはエゾバフンウニだと思われる)の死骸、ムイ(ヒザラガイの仲間)も数多く打ちあがっていました。他には、身の入ったツブ、イガイに仮根を付着させた根のみの日高昆布などが印象的でした。これらは台風などの波の影響で浜に上がったのか、海水温が関係するのか因果関係はわかりませんが、記録しておきます。漁業者の話によると、様似町では過去にも同じようなことがあり、それ以来数年間ウニがとれなかったことがあるそうです。

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ムイ(ヒザラガイ)、ウニ、昆布の根

 2021.10.2、アポイ岳ジオパークビジターセンターに四国出身のかたがアポイ岳の調査後にいらっしゃったので、瀬戸内海の赤潮について伺ってみました。内海の瀬戸内海では、赤潮が頻発する。特に養殖のハマチなどに影響が出る。四国出身としては、外海で赤潮被害というのは驚きである。

 「海の変化」問題に対して、(1)視点の三原則「鳥の目/魚の目/虫の目」(四国との比較、全道の状況把握、現状の記録)に加えて、(2)温故知新(様似町の昔の記録をたずね、そこから新しい知識・見解を導くこと)という視点をもって、少し問題を掘り下げてみました。(カ)

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