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2011年05月26日
元のオリーブグリーンに近づいた?
先日、様似町役場前にある「アポイの鼓動~かんらん岩、見る触れる感じる広場~」で磨き直し作業が行われました。
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通称・かんらん岩広場は、貴重なかんらん岩をはじめとする日高山脈の巨石を切断研磨し設置しているもので、毎年多くの大学が巡検に訪れているアポイ岳ジオパークの野外博物館です。
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しかし、設置後10年が経過し、特にかんらん岩の研磨面が白濁したりクラックが入るなど、鉱物の様子が分からないほどに劣化が進んでいました。
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このため、岩石を一つひとつ手作業で研磨し直すこととし、同一面を荒削りから仕上げ磨きまで数段階の研磨を繰り返すことで設置当初の色合いが復活するよう施工したのです。
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結果は、クラックは完全に取り除くことはできませんでしたが、かんらん岩本来のオリーブグリーンは取り戻すことができました。
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かんらん岩はとても風化しやすく、アポイ岳周辺でも道路工事などにより新しく露出した露頭も、見る見るうちに色合いが変わっていきます。室内に置いてあるかんらん岩のモニュメントはほとんど変化せず、野外のものも日当たりが良くない面は白濁の程度もそう悪くはないことから、太陽光が大きな原因をつくっているのかもしれません。
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再研磨により、おおむね元の色合いを取り戻した広場ですが、年月が過ぎれば同じように劣化が進んでしまうので、施工後に石材用保護剤を塗布して仕上げとしました。
これにより、今年はリフレッシュした顔立ちで、全国の研究者や学生さん達をお迎えできるはずです。(タク)
2011年05月25日
全国で仲間がどんどん増えています
22日~24日まで、千葉の幕張と東京で、ジオパーク関係の行事があり、4日ぶりのご無沙汰となってしまいました。すみません。
毎年、千葉県の幕張メッセを会場に、自然科学系の学会が一堂に会する、「地球惑星科学連合大会」が行われていますが、その中にジオパークを紹介するセッションがあり、全国のジオパークとともに、アポイ岳もポスター発表を行ってきました。
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それぞれ、趣向を凝らしたポスターで自らの地域の取組みを宣伝していましたが、アポイ岳も、現在取り組んでいる「ふるさとジオ塾」のことを題材にPR…。
また、この大会では、ジオパークを認定する日本ジオパーク委員会の公開プレゼンテーションも行われていて、今年は、世界ジオパークの国内候補地1件(隠岐)、日本ジオパーク6件(茨城県北、男鹿半島・大潟、下仁田、秩父、白山手取川、磐梯山)が申請し、審査委員に当地の魅力をPRしていました。
翌日は、場所を都内に移して、日本ジオパークネットワークの2011年度通常総会が行われ、霧島新燃岳噴火や東日本大震災など、歴史的な自然災害が起こるなか、災害へのジオパークが果たす役割についても活発な議論が交わされました。
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2009年にスタートした日本ジオパークネットワーク(JGN)は現在、4つの世界ジオパーク、10の日本ジオパークにまで拡大し、加盟を目指す地域も年々増え続けています。
今年申請した地域の認定は、ジオパーク委員の現地審査を経て9月ごろに決まる見込みで、新しい仲間が全国でどんどん増えています。(タク)
2011年05月21日
アポイ岳情報04:5/20
昨日5/20のアポイ岳の花の状況をお知らせします。
登山口から5合目山小屋までは、前回のアポイ岳情報03とほとんど変わっていませんでしたが、5合目から上では、ちょっと様子が変わっていました。
まずは、5合目から馬の背までの間では、アポイアズマギクとサマニユキワリが見ごろを迎えていました。

アポイアズマギク

サマニユキワリ
そして、馬の背下付近では、日本ではアポイ岳付近でしか見られない国の天然記念物の蝶、ヒメチャマダラセセリの姿も確認できましたよ(写真は撮れませんでしたけど・・・)。
さらに、8合目付近まで行くと、今年の初物も。

鮮明な黄色とメタリックに輝く濃い緑が特徴的なエゾキスミレと、

サマニユキワリに似てはいるけど、大きな花のヒダカイワザクラでした。
前回登った時には見られなかったのに、1週間もたたないうちに新しい花が現れる。これだからアポイ岳は面白い。
ところで、今日は地元様似小学校の3&4年生のアポイ岳学習登山の日でしたが、ほとんどの子どもたちが頂上まで登ったようでした。

ゆっくり登る私たちを追いぬいて頂上まで行き、おいしいお弁当を食べ、あっという間に降りてくる子どもたち。みんな本当に元気いっぱい。みんなそれぞれ良い思い出ができたんだろうね。
さて、今回の登山は、今年からアポイ岳の植物に対するエゾシカの影響を調査し始める酪農学園大学の学生さんと一緒でした。学生さん達が当町のT学芸員から現地で植物を教えてもらうための登山に、私も便乗したというわけです。
熱心な学生さん達はアポイ岳の頂上まででは物足りず、さらに続く吉田岳での調査もリクエスト。それじゃ、ということで今年初の吉田岳方面への遠征です。
吉田岳はアポイ岳の頂上から1時間弱で行ける小さなピーク。ここまで足を延ばす登山客はそう多くはありませんが、実はこのアポイ岳~吉田岳間も高山植物のお楽しみスポットなのです。

今日も、アポイ岳までの登山道では見られなかったアポイキンバイが姿を見せてくれましたし、

沢山のヒダカイワザクラが迎えてくれました。

上の写真、奥で鋭くとがっているのが吉田岳。残念ながら今日は時間の都合上、吉田岳まであと半分というところでおしまいでした。
写っているのは酪農学園大学の学生さんとT学芸員です。彼女たちはこれからも頻繁に様似に来て、調査してくれます。アポイ岳で見かけた方は、是非一言声をかけてあげてください。
(krmd)
2011年05月20日
「にっぽん名山紀行」ロケ隊が様似町へ!
先週12(木)13日(金)の二日間にわたって土曜スペシャル「にっぽん名山紀行」のロケー
ションが行われました。
ロケ場所のメインは番組のタイトルどおり「アポイ岳」ですが、駅に降り立ち観光案内所に立
ち寄ったり、観音山で花鑑賞したりと精力的に取材されました。
レポーターは「谷川真理」さん(左)と「千葉真子」さん(右)のお二人。
谷川さんは福岡県出身で1991年の東京国際女子マラソンで、日本人としては8年ぶり
となる優勝で一躍注目を集めました。翌1992年の名古屋国際女子マラソンではわずか
5秒差で優勝を逃すもののゴールドコーストマラソンで2度目の優勝を果たしました。
そして1994年のパリマラソンでは2時間27分55秒の自己ベスト(大会新記録)で3度
目の優勝。最近はランニング教室、講演活動の他に地雷廃絶のための募金活動などの
社会的活動にも力を入れています。
もう一人の「千葉真子」さんは96年にアトランタ五輪1万メートルで銅メダルを獲得。
97年にはアテネ世界陸上1万メートルにて銅メダル、2003年パリ世界選手権マラソンで
も銅メダルに輝き、世界初のトラック・マラソンメダリストとなりました。
現在はスポーツで世の中を元気にしたいという目標に挑戦中です。今回のロケの事は自
身のブログにもアップされていますので、是非ご覧ください。
さて、お二人は観光案内所で情報収集。今の観音山ではカタクリ、オオバナノエンレイソ
ウ、エゾエンゴサクが見ごろであることや展望台から様似町が一望できるとの情報を得、
早速むかったようです。
夜はアポイ山荘へ宿泊。ちなみにこの日二人が食べたのは
■ ツブのわさび和え
■ いか、えび、サーモンの刺身
■ 阿寒ポークの味噌焼き
■ タラの芽の天麩羅
■ 白貝の酒蒸し
■ わさびアイスなどでした。
レストランではたまたま居合わせた地元の人と交流し、様似の夜を楽しまれたようです。
ちなみに放映日は5月28日(土)
テレビ東京系(北海道ではTVH)19時~21時です。番組タイトルは
土曜スペシャル「にっぽん名山紀行」ですので、お忘れなく。
(302)
2011年05月19日
様似山道を歩いてきました。
様似町の東部には、断崖絶壁の海岸「日高耶馬渓」があります。昔はこの辺りを通るためには、この海岸沿いを歩くしか方法はありませんでしたので、人々は波の引間を狙って走り抜けたり、あるいは崖をよじ登るなどして通らなければならず、東蝦夷地における交通の難所の一つでした。
当時の江戸幕府は、特にロシアなどとの有事の際に必要だとして、1799(寛政11)年にこの断崖上に道路を開削します。これが北海道における初期の国道の一つ、「様似山道」です。その後、海岸沿いに道路ができると次第に山道は使われなくなりましたが、現在もいにしえの道として親しまれており、フットパスコースとしても整備されています。
http://www.apoi-geopark.jp/course/course_06.html
今年、その様似山道で看板の改修などを予定していることから、その下調べのために昨日(5/17)、全線を歩いてきました。

山道を歩いていると、紫の花が沢山咲いていました。これは、エゾオオサクラソウ。そのほかに沢山咲いていたのは、

ヒトリシズカでした。
さて、これら2つの植物には共通点があります。それは…「エゾシカがほとんど食べない植物」だということです。
実は様似山道付近でもここ数年エゾシカが非常に沢山生息するようになり、餌として食べられる植物が激減してしまっています。その代わり、これらのようにシカが食べないものだけが勢力を伸ばし、大群落をつくっているという訳なのです。下の写真を見てください。

まるで冬のような景色に見えますが、これも昨日写した、春真っ盛りの写真です。シカが少ない数年前まではここにもいろんな植物が生えていたはずですが、今はすっかり食べられて植物がなくなり、茶色一色。こんな場所が山道沿いには沢山あります。

上の写真は、山道沿いにあったエゾオオサクラソウの大群生地です。一面に紫色が広がるとても美しい風景ですが、実はこれもエゾシカがつくりだした「ゆがんだ自然の美しさ」なのだと考えると、手放しで喜んでもいられないというのも現実なのです。

と、やや暗くなってしまいましたが、全長約7km、所用時間約4時間の歩きごたえのあるフットパスコース「様似山道」は、ロープを使って急斜面を登るスリルが味わえたり、

断崖上から日高耶馬渓の絶景を望めたりできる、変化に富んだとても面白いコースになっています。
あなたもこの様似山道を歩き、江戸時代の旅人気分を味わってみませんか?
(krmd)











