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アポイ岳ジオパークについて

日高の山並みと太平洋の海。ここにアポイ岳のありさま。

 アポイ岳の標高は810.23m、日高山脈の中軸から南に約20km余り飛び出していて(よく誤解されますが、えりも岬は日高山脈の中軸ではなく、黄金道路付近が中軸です。)、峰続きの吉田岳、ピンネシリ(958.2m)、幌満川対岸の幌満岳(685.4m)などとともに「幌満かんらん岩体」と呼ばれる直径10kmほどの山塊をつくっています。
ここの岩石は「かんらん岩」を主とする特殊なもので、植物の成長に大きな影響を与えます。加えて積雪が少ないことによる地表の凍結、さらに海霧の影響で夏でも低温になるという、植物には厳しい環境となります。

 こうした特異性を克服して適応できたのが、現在のアポイ岳の高山植物です。戦前から天然記念物に指定されていましたが、1952(昭和27)年には国の特別天然記念物(道内ではタンチョウやマリモなど6件)に指定されました。さらに動物でも、アポイマイマイやヒメチャマダラセセリなど貴重な生態が確認されています。
近年、地球温暖化の影響でハイマツやゴヨウマツが分布を広げ、それに押される形で高山植物群落が急速に縮小しています。
加えて心ない盗掘などにより、貴重な動植物が絶滅の危機に直面しています。

 また、アポイ岳を中心とするこの地域は地質学的にもとても重要で、昔から世界中の研究者の貴重なフィールドとなっています。かんらん岩は上部マントルを起源とする岩石で、しかも新鮮な状態で地表に現れている点が極めて珍しいからです。このかんらん岩は、プレート衝突という大事件によってもたらされました。アポイ岳周辺では、このプレート衝突の現場も直接観察することができます。
これらを研究することで、地球内部の様々な情報やメカニズムを理解することができるのです。
アポイ岳周辺がジオパークに認定された大きな理由は、そこにあるのです。