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1. かんらん岩が育むアポイ岳の植物相

アポイ岳とその周辺は、針広混交林で冷温帯性のキタゴヨウと亜高山性のアカエゾマツの混生が見られるほか、高山植物やエゾナキウサギなどの分布が低い標高まで降下する一方、コゴメウツギやコナラなど数多くの温帯性植物の東限となるなど、北方系と温帯系の動植物が同居するという奇妙な生態系をつくっており、生物多様性のホットスポットともなっています。特に、アポイ岳は、810mという低標高にもかかわらず約80種の高山植物が生育し、しかも亜種・変種・品種を含む固有種は20種近くに及び、これほど固有種が集中する地域は世界的に見てもきわめてまれといわれています。

これほど特異な生態系がある背景には、地球深部の贈りもの・かんらん岩が大きく影響しているなど、以下の3つの要因があると考えられています。

理由1. 地質

アポイ岳をつくるかんらん岩からつくられた土壌には、植物の生育を阻害する成分(ニッケルやマグネシウムなど)が多く含まれています。また、かんらん岩は削られにくく土壌の堆積に時間がかかるうえ、できた土壌も風雨で移動しやすいため、薄く、乾燥しやすく、栄養にも乏しいのです。このため、極相であるはずの針葉樹林の成立を阻んでいるのです。

理由2. 気象

積雪量が少ないうえに強風にさらされるアポイ岳では、土壌の凍結融解が起きやすく、植物の根が傷つけられたり、斜面地の土壌が不安定になるなどの環境にさらされます。また、アポイ岳は海に近く、主に夏場に海霧におおわれるため、気温が低下します。こうした気象条件が、アポイ岳の環境を高山に似たものにしているのです。

理由3. 地史

アポイ岳は誕生以来、一度も海面下になることがなく陸地であったため、誕生当時の植物群を保護してきました。さらに、氷期に陸続きとなった大陸から南下してきた北方系の植物は、温暖な間氷期に高山やアポイ岳などに逃げ込みました。こうしてアポイ岳に残ったり隔離した植物が、かんらん岩の特殊な土壌に適応していく過程で独自の進化を遂げ、ここにしかない固有の植物となったのです。

このような条件が重なり合って、標高810mのアポイ岳にここにしかない高山植物を咲かせているのです。これらの高山植物相は、「アポイ岳高山植物群落」として、1952(昭和27)年に国の特別天然記念物に指定されています。

国指定特別天然記念物「アポイ岳高山植物群落」1952(昭和27)年指定 《北海道の他の特別天然記念物》大雪山/昭和新山/野幌原始林/タンチョウ/阿寒湖のマリモ

  • 特別天然記念物に指定されている高山植物群落(3件)

  • 北海道内における特殊岩地植生をもつ主な山