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2019年11月01日

遺跡セミナーが開催されました

去る10月17日に中央公民館で

ジオ塾も兼ねて遺跡セミナーが開催されました。

 

良港をもつ地形であることもあり、
江戸時代には「場所」が開かれたアポイ岳ジオパークですが、
もっと昔から人の居住自体はあり、
その痕跡が「遺跡」として各地に残っています。
続縄文時代のものである冬島遺跡もその一つです。

まずは、様似町教育委員会の高橋学芸員から
冬島遺跡の発掘結果について、10月時点での速報報告がありました。

 

IMG_4679.JPG

 

冬島遺跡発掘写真スライド

写真左下に炉の跡があり、また、列石もあることから住居跡かもしれません。

11月19日からは、ギャラリー21でも展示が予定されていますし、
今後どんなことが明らかになるのか楽しみですね。

続いて、白滝ジオパークのある遠軽町教育委員会の学芸員、瀬下直人さんから
実験考古学をテーマに石器作りのデモンストレーションと
講演をしていただきました。

黒曜石を模したガラス塊を鹿角のハンマーで割ってみます。
(脚にかけているのは鹿皮です)

 

石器作りデモンストレーション

うまく叩かないと塊ごと砕けてしまうので、
少しずつ形を整えるのにはコツがいるようです。


黒曜石石器レプリカ

瀬下さんが作成された石器(使う道具により形状が変わる)


黒曜石の一大産地であった白滝の場合、完成品だけではなく
その過程で捨てられた側のものも出土しており、
それらをパズルのように組み合わせるともとの黒曜石の塊になります。
出来上がったものを「接合資料」と呼びます。
そこからどのような過程を経て、石器になったのかを追うことができます。

また、瀬下さんが講演で次のスライドを出しながら説明されていました。

考古学で実験することのデメリット

遺跡で見つかるのは「モノ」でしかありません。
現在、できたことがそのまま正解になるわけではありません。
けれどもその結果の積み重ねが、
当時の「人」へアプローチする手法の一つであることは確かです。

ところで冬島遺跡では、黒曜石の「棒状原石」というものが出土していて、
これは、白滝の黒曜石です。
現在は、両地域ともジオパークであるという共通点をもっていますが、
交通手段どころか整備された道もない2000年以上前に
既に交流があったことは何だか不思議な感じがしました。(クド)

 

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