ブログ
2015年07月16日
世界ジオパーク現地審査_3日目
現地審査3日目は、歴史をテーマに終日ジオサイトを巡りました。まず最初に審査員をお連れしたのは、エンルム岬の麓にあるシャマニ会所跡地の解説板。初日のエンルム岬に引き続いて、ミズノンガイドの解説です。
1799年に江戸幕府によって設置されたシャマニ会所は、様似の歴史を語るうえでの一つの画期。陸繋島エンルム岬が今の発展のきっかけとなったのです。
そして、その会所跡地のすぐそばにある小さな郷土資料館・様似郷土館へ。ここでは、荒木教育長が出迎えてくれました。
中では、今年から配属となった高橋学芸員が、様似町やその周辺で出土したアンモナイトや縄文土器について解説。ダン先生からは、「良いものが集まっているので、展示エリアを大きくして時代区分とうまく連動させるといいですね。」とのコメントをいただきました。キャパの問題もありますが、化石の有効活用を今後考えていく必要があります。
次に向かったのは観音山。シャマニ会所と同様に、江戸幕府によって創建された等澍院に関連する標高101mの小山です。毎年、等澍院とその檀家が33体ある観音様一つひとつをお参りするとの話に、審査員は驚いていました。
展望台からの眺めは雲がかって最高とはいえないものの、エンルム岬や親子岩も見られてまずまず。看板のイラストが生きています。
観音山を下りて、その麓にある等澍院へ。
等澍院は、シャマニ会所開設の7年後の1806年に創建されました。これまでに4度移転改築を繰り返しており、創建当時の建物はほとんど残っていませんが、様似の歴史を語る重要な寺院です。本堂では、大久保住職から国の重要文化財に指定されている百万遍念珠箱など貴重な仏具や仏像について説明してもらいました。
また、檀家さんの池田さんのお手前で、本堂内で野点で抹茶をふるまってもらいました。日本が初めてという2人は、池田さんの手ほどきで自ら茶をたてる体験も楽しみました。
等澍院で日本文化を楽しんだ後は、一転して地層の露頭へ。様小裏の旧石切り場では、認定ガイドでもある静内小の島田先生が解説。アポイ岳ジオパークの西半分は、約1億年前の白亜紀に海の底に溜まった堆積岩の地層でできており、ここはそれを紹介するジオサイトなのです。
この地層は、蝦夷層群と呼ばれる北海道の真ん中を南北に細長く伸びている地層で、アンモナイトなどの化石が多く産出することで知られています。残念ながら様似町ではあまり産出されませんが、島田先生は郷土館に保管されている近傍産出のアンモナイトを見せながら、地層の特徴を説明していました。
次に訪れたのは、岡田のチセ。数年前にアイヌ協会のみなさんが復元したアイヌの伝統家屋で、アイヌ生活相談員の大野さんがチセの特徴などを英語で説明しました。大野さんの圧巻の英語力に感服しました、ワタクシ。
また、チセの中では、昨晩の交流会に引き続き、様似民族文化保存会のみなさんが古式舞踊を披露。審査員や我々も輪踊りに参加して気持ち良い汗も流したのです。
そして、囲炉裏を囲んでのアイヌ料理で昼食。炭焼きの分厚いトキシラズは絶品でしたよ。昼食後は談笑しながらしばし休憩。囲炉裏を囲むとなぜかゆったりとした気分になるのです。
最後はみなさんで記念撮影。保存会の皆さん、お世話になりました。
午後からは、様似小学校へ。ジオパーク学習をしている4年生の発表授業を見学するためです。昨年完成した真新しい校舎に入ると、審査員用の靴入れの上には審査員さんたちの名札が。先生たちが母国語のあいさつ文も添えて用意してくださりました。
校長先生に案内されて体育館に行くと、4年生がアイヌ古式舞踊で私たちを出迎えてくれました。
そして自分たちが学んだアポイ岳ジオパークのことをグループごとに元気に発表。審査員も感心して聞いていました。
それにしても子どもたちは元気。発表を終えると審査員といろいろコミュニケーションもとってくれます。
やはりここでも想い出の1枚をパチリ。
授業の後は、2人を屋上へ案内。ここの校舎は海に近く津波の心配があることから、改築の際には屋上を緊急避難場所として整備しており、ヘリも離着陸できるようになっているのです。こうした防災対策も審査員にアピールしました。
また、2階の会議室をお借りしてのティータイム。カフェ・マザー特製のかんらん岩ケーキを召し上がってもらいました。
小学校を後にした一行は、最後のエリア・日高耶馬渓へ。冬島漁港内にある穴岩では、Iyokiガイドが穴岩の由来や海岸段丘などについて解説しました。
また、大正トンネルそばの円館さんの昆布小屋では、円館さんと同じ昆布漁師の泉さんが、昆布漁のことを紹介。北海道大学の四ッ倉先生も加わって、アポイ岳の恵みで生まれた良質の冬島昆布を知ってもらいました。
昆布談義の後は、円館さんの家族も入って記念撮影です。
雨天の予想がなんとか最後までもってくれて、3日目もこれで無事終了。しかし、明日は実際に昆布採りを体験させる予定が、この段階で雨と高波の予想で出航ピンチ!出たとこ勝負と開き直りながらも、しぶとく神様にお祈りするワタクシなのでした。うまくいったかどうかは明日のお楽しみです!(タク)